全身麻酔のリスク軽減に欠かせない観察業務について

手術で使われる全身麻酔は、患者さんの痛みを取り除くために有効ですが、当然リスクも伴います。
特に全身麻酔に関連した合併症は、重篤になりやすいため、細心の注意が必要となります。
近年では医療技術の向上により、そのリスクは軽減されているものの、決して油断はできません。
合併症等のリスクを軽減するためには、麻酔を補助する手術看護師のアセスメントや観察が必要不可欠となります。
ここでは、この観察の具体的な流れを解説していきたいと思います。

観察業務では、まず術前に患者さんの日常生活における体力、身長や体重の変化、血圧・脈拍・熱などのバイタルサインや呼吸器の状態を確認します。
加えて、持病薬や常備薬、貧血やアレルギー反応の有無、血縁家族の麻酔歴や、自身の病歴などを聴取し、喫煙・食事の制限指導も行います。

そして術中には、気道内の異物や舌根沈下、体位の異常による気道の閉塞がないかを確認し、麻酔薬の過量による呼吸の抑制がないかを注意深く観察します。
声門の麻痺によって気道が塞がれていないかも確認し、必要に応じて対処します。
特に慢性気管支炎や喘息、アレルギーを持つ患者さんは気管支の閉塞の可能性が高くなるため、しっかりと見る必要があります。
そのほか、血圧の低下や温度変化にも気を配らなければなりません。

術後は、呼吸が正常にできているか、血圧・脈拍が正常値かどうかをチェックし、意識障害・精神障害が起こっていないかを観察します。
このように、全身麻酔に関わる手術看護師となれば、術前から術後に至るまで、あらゆる観察・チェック作業を行わなければなりません。
そのため、小さなミスなく、細かい作業を進めていける人が向いている現場だといえるでしょう。